高校地理(気候):気候要素と気候因子

(※ 高校地理はひとまず文章での解説を掲載しています)

 

概要

気候とは、その土地の「長期的な」大気の状態のこと。「ここは暑いなー」や「ここは雨が多いなー」というようなこと。

なお、数週間~数か月の大気の状態のことを「天候」、1日内~数日の大気の状態のことを「天気」と呼び、用語としては区別されている。

 

「気候要素」と「気候因子」

気候要素:気候の特徴を示すもの。気温、風、降水量など
気候について表現したいときの具体的な項目

特に、この「気温」「風」「降水量」は気候の3要素と呼ばれる

 

気候因子:気候要素に影響を与える要因。緯度、隔海度、海流、地形など
「緯度が高ければ → 気温は低くなる」というようなこと

 

※ 気候要素と気候因子の区別方法
基本的に気候の学習のときに前面に出てくるのが気候要素の方です。「熱帯とは最寒月の平均気温が18℃以上で…」といった感じで、まずは気温や降水量を用いて、気候区分を定義していきます。
そして、「なぜなら、そこは低緯度地域で…」というように、その気候となる原因・要因が気候因子です。(気候因子が原因側、気候要素側が結果側)

手っ取り早く、「気候の3要素=気温、風、降水量」と覚えておけば、混乱せずに済むと思います。

 

気候要素:① 気温

実際には地熱などもあるが、基本的に太陽のエネルギーの影響を考えればOK。たまに海流の影響(暖流が流れてくる地域は比較的暖かい)を考えることもある。

緯度による影響

・高緯度地域ほど、太陽の光が弱く(斜めからしか光が入らない)、気温は低い
・同緯度地域でも、回帰の影響で、時期によって気温は変わる。一般に、高緯度地域ほど年間での気温の差(年較差)が大きい

高度による影響

・高度100m につき、気温は約0.55℃ 低下する
(この減り方のことを気温の低減率という)

※ 気温の低減率は空気中の水分量によって変化する。特に、フェーン現象とは、山脈の風上側と風下側で気温の低減率に差があることで生じる現象。乾燥した空気の逓減率は約1℃/100m

離海度による影響

・海:暖まりにくく冷めにくい
・陸:暖まりやすく冷めやすい
(比熱の違いからこうした現象が生じる)

 

気候要素:② 風

基本的に、地表面付近では、風は「高気圧側から低気圧側に向かって」吹く
ある箇所で上空から空気を押さえつけると、地面によって行き場を失った空気が地表面沿いにサッと抜けていくイメージ。もしくは、反対に、高気圧地域で、空気を吸い上げるイメージ

なお、一定期間を通じて一定方向に吹く風のことを「卓越風(たくえつふう)」という

貿易風

「中緯度高圧帯」から「赤道低圧帯」に向かって吹く
中世の貿易などではこの貿易風を利用して航海
北半球では北東風、南半球では南東風となる

偏西風

「中緯度高圧帯」から「亜寒帯低圧帯」に向かって吹く
北半球では南西風、南半球では北西風となる。いわゆる「ジェット気流」の正体はこの偏西風で、ジェット気流に乗れば飛行機での所要時間が短くなる
台風などの低気圧が発生しやすい

極東風

「亜寒帯低圧帯」から「極高圧帯」に向かって吹く

 

季節風(モンスーン)

夏と冬で吹く方向が変わる風のこと。大陸の東岸でよく見られ、日本は典型例

〔夏〕海 → 大陸
夏は、陸地の方が海よりも暖められやすい。陸地の空気は膨張して軽くなり、上昇気流を起こす(低気圧となる)。その結果、空気が吸い上げられるような形になるため、地表面付近では陸地の方に向かって風が起こる

〔冬〕大陸 → 海
冬は、海の方が熱が残っている(水は冷めにくい)。そのため海面上の空気の方が上昇気流を起こしやすい。その結果、海に向かって風が起こる。
なお、太平洋やインド洋は低緯度地域にも広く分布しているため、そもそも暖かい、という要因もある。

局地風(地方風)

地域に特有の風。独特な地形などが要因

〔主な局地風〕

名称 地域 風上 風下
フェーン ドイツ南部(アルプス山脈の北側) 平野
シロッコ 地中海沿岸 地中海 陸地
スホベイ ロシア南部、中央アジア
(ウクライナ、カザフスタン)
東・南東
ボラ アドリア海沿岸(クロアチアなど) 陸地
ミストラル フランス南部 陸地
ブリザート 北アメリカ大陸北部、南極
ハルマッタン 西アフリカ(冬季の貿易風) サハラ砂漠 ギニア湾岸

※ 赤字は(その地域としては)温暖な風、青字は寒冷な風

 

気候要素:③ 降水量

飽和水蒸気量の変化によって、水蒸気が液体(水)になって地表面に向かって落ちてくる
雨を降らすだけの水蒸気が空気に含まれているかどうかも重要なポイント
また、降雪量は降雨量としてカウントする

低気圧
上昇気流で空気が上がっていく。温度は下がるため、飽和水蒸気量が減少し、耐え切れなくなった水蒸気が水となって落ちてくる

山脈・山地
山脈の風上側は湿潤。標高が高くなるにつれて飽和水蒸気量が減少し、水蒸気が水となるため。
山脈の風下側は乾燥。降雨が終わった空気が山脈を越えて下りてくるため。パタゴニア(アルゼンチン)が代表的

大陸内部(=隔海度が大きい)
雨となる水分が届かないため乾燥

海流
暖流の上の空気は湿潤。暖かい水ほど蒸発しやすいため
寒流の上の空気は乾燥。それほど蒸発したいため。寒流に近い地域は乾燥しやすく、砂漠が形成されることもある(アタカマ砂漠、ナミブ砂漠)

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