【記事】辞書持ち込可という誘惑。隠されたメッセージ

筆者は高校3年生の時にある大学のAO入試を受験しました。全く受験勉強をしていなかった(偏差値は40程度)僕がなぜAO入試を受験しようと決めたのか。それは「英語の試験しかなかったこと」と「紙の辞書を1冊持ち込可」という試験だったからです。「辞書持ち込可」という言葉に隠された本当の意味に気付かず受験をした僕自身の失敗談をここでお話しします。

実はこの入試には「英検準2級取得者は英語の試験免除」というもう1つの特典があったのです。当時の僕は英検準2級のレベルを全く知らなかったのですが、実際英検準2級のレベルはだいたい高校1~2生レベル。つまり大学側は「そのくらいのレベルの英語力を持ってさえいればよいです」と言ってくれていた訳ですが、そんなことにも気づいていなかった。さらに「辞書持ち込可」となってはいますが、入試の英語も結局は高校1~2年生レベルの問題であるため、きちんと英語を勉強してきている受験生は辞書なんて使わなくても読めるはずの問題だったのです。つまり「辞書持ち込可」という言葉の裏には「辞書を使ってしか英語を読めない人は受かりませんよ」というメッセージが隠されていたのです。

僕みたいな勉強をしていない人間はその隠されたメッセージに気付くことなく、「この大学めっちゃ優しい」「辞書くらいあればなんとかなる」と思い受験を決意。そして試験中、辞書を引きまくるのですが、普段から紙辞書なんて使っていないので単語1つ調べるのに2、3分かかり気が付けば全て解けないままに試験終了。当然不合格です。結局その大学に受験料という寄付をしただけでした。

受験というものは、合格に向けて必死に勉強をしてきた人間に対しては(結果が合格・不合格に関係なく)意味のある時間を提供してくれます。後になって「あの時受験してよかった」と思えます。ですが、僕はこの入試に対して「受験してよかった」と思ったことは一度もありません。ただただ親に申し訳なく、本当に自分はアホだなとしか思っていません。

最近は秋口にたくさんの大学で推薦入試が実施されています。あまり勉強をしていない生徒ほど「早く受験生活を終わらしたい」「たくさん受ければいつか受かる」といった理由で推薦入試を受けようとする傾向があります。
しかし、
・その大学に本当に行きたいですか?
・勉強から逃げようとはしていませんか?
・入試に向けて必死に勉強してきましたか?
願書を出す前にもう一度考えてみてください。1つでも心に刺さるものがあれば、推薦入試を受けることはお勧めしません。

僕のような失敗をせずに、有意義な入試を受け、大学生になってほしいと切に願います。

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